2024年3月某日、『八景島シーパラダイス』に行ってきた。
横浜にある人工島『八景島』は、島全体がまるごとシーパラダイスというレジャー施設になっている。島内には4つのエリアに分かれた水族館と、遊園地、レストランやカフェ、ホテルまで完備されている。かなり有名な水族館なので、この日を心待ちにしていた。
八景島駅までは『金沢シーサイドライン』という路線を使って行ける。無人運転の電車だそうで、車窓からは海の眺めが楽しめる。レジャー感満載で早くも気分があがる。
しばらく歩き、大きな橋を渡るといよいよ八景島。
着いてまず驚いたのが、チケット売り場の大行列。ディズニーランドかと見紛うほどの大混雑だった。ド平日だと思って油断していたが、世間は春休みの真っ最中であることをすっかり忘れていた。
私たちは前売り専用レーンに並んだので実際そこまで時間がかかったわけではないが、あそこから新規でチケット購入する人たちは相当並んだと思われる。やはり前売りしか勝たん。
まず入ったのはメインとなる大きな水族館『アクアミュージアム』。真っ先に興味を引いたのは『タコ・イカLABO』。
えっそんな……私がイカ大好きだってこと知っていてこんなコーナー作ってくれたんですか?
水槽にはなんとシーパラ生まれのかわいいコウイカちゃんたちがいっぱい。
このあたりはいかにもラボっぽい作りになっていて、眺めるだけで自分も研究員になった気分。イカやタコだけでなく貝類などいろいろな解説もあって興味をひかれる。
館内は広々として、大きなガラスがいくつもある。まるで海の中に入ったような感覚で、海獣や魚たちの動きをいつまでも見ていられる。
目玉の大水槽にはイワシの群れ。
だいたいどこの水族館でもイワシを群れで飼育しているのは、自然の雄大さを一番イメージしやすいからだろう。小魚たちの群れと、その周りで泳ぐ大型の魚たち、豊かな海の多様性を感じられる。
この大水槽の最大の魅力は、水槽の中をエスカレーターが通っていること。上階へ昇りながらトンネル状になった水槽を通過する、この時間のワクワク感が半端ない。
普段上の方で泳いでいるサメなどの魚を目線の高さで眺められる楽しみもあり、エスカレーターの速度がもっと遅ければいいのに……などと初めての感情を抱く。
多くの水族館と同じように、この大水槽も時間によってパフォーマンスが行われる。餌と光を使ってイワシの群れを動かし、そこに照明や音響を乗せるもの。
だが、シーパラが他と違うのは外部コンテンツとのコラボにある。私たちが行ったシーズンは『ぼっち・ざ・ろっく!』とのコラボ期間中で、シーパラで行われるショーのBGMにはアニメぼざろの曲が使われていた。水族館という特殊空間に、好きなアニソンが大音量で流れる楽しさ、ファンなら絶対嬉しいはず。
そして、じつはシーパラはサメ推し。
サメの卵の観察コーナーや、歯や皮膚などのパーツごとの解説など、サメに関する展示が充実。何より目をひくのは巨大なシロワニ。
深海に棲む珍しいサメやラブカの標本も常設で見ることができる。マニアもにっこり。
深海生物と巨大ザメ、幻想的なクラゲのエリアを抜けると、屋外に近く明るいフロアに繋がる。珊瑚礁の海が再現されたエリアで、豊かな自然を思わせる。
外はフォレストエリアになっており、魚以外の生き物にも出会える。自然に溢れた遊歩道エリアで、天気の良い日には美しい景色も見られる。
フォレストエリアでかわいいのは、やっぱり小動物。
プレーリードッグはひたすら食事と周囲確認を繰り返す仕草がかわいくて、どれだけ見ていても飽きない。個体によっては忙しそうに土をまき散らしながら穴掘りしまくるやつもいた。
レッサーパンダは空中通路の途中でお休みしており、なんと頭上すぐそばに。お客さんからの注目をガンガン浴びても平気な顔でのんびりしていた。
ここまでで『アクアミュージアム』は終了。一旦退場ゲートを出るが、当日券があれば何度でも再入場可能なので、とりあえず出よう!ができる安心がある。
シーパラのシステムとして、何ヵ所かに分かれた水族館エリアのそれぞれに入場ゲートがあり、毎回チケットを提示しないといけないのでちょっと面倒くさい。
チケットの種類が大きく分けて「水族館エリアのみ」「遊園地エリアのみ」「両方」の3パターンあるので、遊園地エリアの入場券しか買っていない人が水族館エリアに入って来られないようにするためなのだが、それでもちょっと面倒くさい。
お昼ご飯として軽くクレープを食べた後は、『ドルフィンファンタジー』へ。名前の通り、イルカが泳ぐ姿をトンネル型の水槽から見ることができる。
奥には本来マンボウがいる巨大水槽があるのだが、この日マンボウの展示は中止になっており、ただでっかい水槽があるだけだった。ざんねん。
少し歩いて『ふれあいラグーン』へ移動。
このエリアでは動物たちとの触れ合いを楽しめるのだが、有料プログラムである上にゆっくり触れ合っている時間もなかったので今回は割愛。お客さんたちが動物たちと触れ合う様子だけ見学させてもらった。
ふれあいラグーンにもイルカがいて、めちゃくちゃ近くまで来てくれた。本当に人懐っこくてかわいい。
あと普通にカメが放し飼いされているので、突然カメに遭遇するイベントが発生して面白かった。
水族館の4つのエリア、もうひとつは『うみファーム』という釣りができる施設。釣った魚は調理して食べられるので、これをメインにスケジュールを組んでも楽しそう。
今回ここはスキップして、最初の『アクアミュージアム』に戻り、ショーが行われるスタジアムへ。
ショープログラムもがっつりぼざろ仕様。BGMがバンド曲になっているのはもちろん、ショー合間のナレーションをモニターに映ったキャラクターたちが行う。
もちろんショーのための撮りおろしボイスで、動物たちのお話をキャラが楽しそうにしてくれる。なんと贅沢なコラボ。
ショーのスタートはペンギンがくす玉を割って、結束バンド(作中のバンド名)の紹介を行うという粋な演出。ちなみにスタッフさんの服装はバンドのグッズTだった。
この後ショーに出演したのはカマイルカ、ハンドウイルカ、そしてベルーガ。
カマイルカは最初と最後の2回出番があるのだが、1回目の出番が終了してもなかなかバックヤードに戻ってくれず、客席側のスタッフさんが豆知識トークで繋げている間にどうにかこうにか群れを誘導していた。帰りたがらないイルカってあまり見たことがなかったので、ちょっと新鮮。
2回目の出番の時にはハンドウイルカと共演。
種類の違うイルカたちが同じ群れとなり、息を合わせてジャンプする。野生ではまず見られない光景だけれど、水族館のチームならではという感じで面白かった。
イルカたちももちろん良かったのだが、シーパラのショーで一番印象的だったのはベルーガ。
最寄りの水族館が名古屋港だった私にとって、ベルーガはイルカと同じくらいなじみ深い生き物だ。名古屋港と、それから鴨川シーワールドでもベルーガのショーを見たことはあるが、ここまでアクティブなプログラムではなかった。
美しい声や優れた知性に着目されがちなベルーガだが、シーパラのベルーガはイルカと同じアスリート担当。イルカショー並の運動量、巨体ゆえにイルカを凌ぐほどのダイナミックさ。ベルーガってずんぐりしていてのんびりさんかと思っていたけど、めちゃくちゃ動ける。
普段ゆっくりした動きに見えるのに実はキレキレのダンスが踊れる人みたいなギャップがあって驚いた。
盛りだくさんの八景島シーパラダイス、水族館は見せ方もイベントも楽しいし、海に囲まれた自然を生かしたレイアウトが良かった。レストランは選ぶのに迷うほど充実しているし、お店以外にも釣り体験やバーベキューもできる。レジャー施設として完成度高い印象があった。
……が、その印象を揺らがせるのが、お土産とゲームのエリア。
お土産は定番商品やイベントコラボのグッズを置いているまでは良いのだが、水族館に関係のないぬいぐるみを大量に売っているお店があったり、以前飼育していたが今はもういないジンベエザメ(最後の飼育は5年前)のグッズがまだ置いてあったりと、一部空気が虚無っていた。そしてそういう売り場にはお客さんがほぼいない。
ゲームコーナーはもっと人が少なくて、もはや誰も屋内ゲームでは遊んでいない。それもそのはず、置いてあるものが超絶レトロなアナログゲームしかない。お洒落なレトロ風とかではなく、大昔に仕入れたゲーム機材をそのまま置きっぱなしにしているとしか思えないマジのやつ。空気感がゲームコーナーだけ昭和すぎて、現実時間とのギャップで風邪ひきそう。
もしかすると、オープン当初からこのあたりだけアップデートされていないのかもしれない。
1993年のオープンから30年以上経過しているので、リニューアルしていかなければ雰囲気も自然と時代遅れなものになっていく。せっかく水族館エリアがきれいなのに、このゲームコーナーのおかげで地方の寂れた遊園地感が出てしまっている。
いや、むしろこのタイムスリップしたかのようなガチ昭和の雰囲気を味わうために遊びに行くのもひとつの楽しみ……なのかな?
何はともあれずっと行きたかったシーパラ、1日まるごと遊び倒してとても楽しかったのでした。
♡おまけ♡
イルキャンティのドレッシングは神。