2023年9月某日、東山動植物園に遊びに行ってきた。
正確には、東山動植物園の動物園ゾーンにだけ。敷地が広大すぎて、植物園まで回るには時間も体力も一日では足りない。
久しぶりの東山。何を隠そう、私は愛知県出身だ。東山動植物園には子どもの頃から何度も遊びに来ている。
東山古参オタクとして語らせてもらうと、東山動植物園は常にバージョンアップを重ねていて、来るたびに新しくなっている。今はきれいなフードコートやカフェがあり、自然を感じながら動物を学べる展示施設があり、そしてめちゃくちゃ清潔で使いやすいトイレがある。すべて昔は無かったものだ。
体感的には、2013年にマスコットキャラクターのズーボくんが登場した辺りから大幅に雰囲気が変わった。進化を続ける東山動植物園を、地元民として私は一生推している。
今回遊びに来た一番の目的は、今年7月14日にオープンした新エリア『アジアの熱帯雨林エリア』をチェックすること。
さらに10月24日(火)に公開予定の、こちらも新エリア『南アメリカエリア 新ジャガー舎』のオープン前の様子も少し見られたら、と期待していた。工事中の風景というのも、期間限定感があって良いものである。
そして、2021年6月から一般公開されているレッサーパンダの展示場もまだ見たことがなかったので、こちらも楽しみにしていた。
平日の動物園は小中学生の子たちが遠足に来ていて、たいへんな賑わい。
アミメキリンの展示場は小高い場所にあり、振り返ると目当ての新エリア『アジアの熱帯雨林エリア』が見えてきた。
新エリア付近は遊歩道もきれいに整備され、野生動物たちの生息する自然をイメージした植樹がされている。
展示場内だけではなく、そのエリアすべてをデザインして野生の姿を想像させる、こういう演出が私は大好き。
エリア内は広い展示スペースと、たくさんの解説資料が用意されていた。たぶん、今後の運用も見越して大きく造ったのだろう。それに動物からすれば、スペースはいくらあっても広すぎるということはない。
エリアのもうひとりの仲間コサンケイは、青色の羽が美しい鳥だが、なかなか見つけられない。
……と思っていたら、私よりずっと立派なカメラを携えた年配の男性が、「今は奥の建物内にいて、時々顔を出しますよ」と教えてくれた。間もなく、ひょこっと顔を覗かせるコサンケイを発見。写真はうまく撮れなかったので割愛する。
隣のゾウエリアにあるのは、スリランカをイメージした展示施設『ゾージアム』。
こちらでは2022年6月26日に誕生したアジアゾウのうららちゃんを見ることができた。
好奇心旺盛そうなうららちゃんを、大人のゾウが時々追いかけて様子を見ていた。お母さんかな?
正門から近いエリアということもあって、遊歩道はきれいに整備されている。このあたりが園内で今一番の見どころだろう。
もちろん、イケメンゴリラのシャバーニで有名なゴリラエリアも絶対に見るべきだが、ここは少しエリアが離れているので後述する。
ゾージアムに隣接しているコツメカワウソの展示場は、ちょうど掃除と餌やりの時間だった。
餌の小魚を、飼育員さんがガラスのキワに置いていく。コツメカワウソが小魚を手づかみして食べる様子が、ガラスを隔てた目の前で観察できる。
ガラスの目の前、最高ポジションのお客さんのバズーカカメラが火を吹く!
あの距離感で、あのいかついレンズで撮る写真はとんでもない臨場感だろうな……と考えているうちに、かわいいもぐもぐサービスタイムはあっという間に終わった。
正門付近にはもうひとつ好きな展示がある。インドサイだ。滝修行のようにシャワーに打たれ続けるサイを見ることができる。
前回来たのはいつだったか、その時もシャワーに直で当たっていたが、この日もそうだった。
一緒にいた父が「角、切られちゃったのかな?」と言ったら、隣にいた子連れの女性が「自分で擦りつけたりしてああなったらしいですよ」と親切に教えてくれた。
コサンケイの時といい、今回は一般のお客さんがよく解説してくださる。私よりも今の東山に詳しい人たちだ……負けてられない!
レッサーパンダの展示場は、意外と奥まった場所に設置されていた。東山の最奥地、ライオン舎の隣だ。
ライオンといえばサバンナの王、動物園の人気者のはずなのに、導線が良くないせいか、ここでは端に追いやられている感が昔からあった。が、このエリアにレッサーパンダ舎を新設することで、この疎外感が解消できるかもしれない。
さらに、付近はがっつり工事中で、ここに『ユキヒョウ・マヌルネコ舎』が新たに建設される予定になっている。エリアの盛り上がりに期待。
レッサーパンダの展示場は、外と中を自由に行き来できる造りになっている。
一匹は元気に動いており、もう一匹は毛繕いをしていた。
ちなみに、反対側にも外に出られる通路がある。運が良ければ下からレッサーパンダが観察できるかもしれない。
隣のライオンエリアでは、オスライオンのサンが寝転んでいた。
2001年に旭山動物園(北海道)で生まれ、2005年に東山動物園へやって来たサンは、去年7月にめでたく21歳を迎えたご長寿ライオンだ。
ただ、年には勝てないようで、足腰の弱りと腰椎変形がみられ、歩くことは少なくなったそう。
優しい顔のサン、健やかでいてほしい。
そして、ここで悲しい事実を知った。
サンの息子のソラが、今年7月に死亡していた。2012年に東山で生まれ、11歳の誕生日を迎えたばかりのタイミングだった。
まさかソラの方が早くに亡くなるとは。とても寂しい。当時の飼育員のブログからも、突然の死亡に驚きと悲しみを隠せない様子が伝わった。もう少し早く会いに来れば……などと考えてしまう。
直近では9月13日にコアラのココが死亡しており、こちらもたくさんの献花が寄せられていた。
他に気になった展示としては、ユキヒョウの足場拡張。
『ぴょんぴょんユキヒョウ』というかわいい名前がついているが、その下には『おしっこにちゅうい!!』という恐ろしい注意書きがある。
ユキヒョウのためのアスレチック的なものだが、前述のとおり、ユキヒョウ舎は別エリアで新しく工事中だ。この足場も、今後新しいエリアに設置し直すのだろうか。
そして、ペンギンの展示場。
前回来た時、こんな扉あったかな。あったような、初めて見るような。
この日は天気が良く暑かったので、ペンギンもちょっとバテ気味に見える。
本園をひととおり巡った後は、階段を上って北園へ。
北園にはシャバーニでおなじみのニシローランドゴリラの展示場と、オープン予定の新ジャガー舎がある。
ゴリラのエリアは特に整備が進んでおり、遊歩道としても作り込まれている。
東山に来たのなら、シャバーニを一目見てみたいと誰もが思うだろう。しかし、ゴリラの群れの中、どれがシャバーニなのか素人に見分けがつくのかな?……と思う方がいるかもしれない。
が、これは見れば分かる。明らかに他のゴリラとは大きさも貫禄も違う。顔つきとか、シルバーバック(成熟したオスの背中にみられる銀色の体毛)とか、そんな部分的な着目をしなくても、見た瞬間に「あっ、これが絶対リーダーのオスだ」とはっきり分かるのだ。だから見つけるのは簡単。
ただし、写真を撮るのは難しい。人気者のシャバーニの前にはいつも人だかりができていて、なかなか近づけない。
気になっていた新ジャガー舎は、『南アメリカエリア』という名前のとおり、南米をイメージしたエリアになっているようだ。
本体の新ジャガー舎については、なんというか……もうちょっと景観に溶け込むような見た目にならなかったものか。
具体的に言うとこのファミレス的な配色……ジョ●フルのようなコ●スのような、もしくはたまに見かけるすごい黄色のサイ●リヤみたいな、主張の強い壁の色が気になる。いや、あえて警戒色で目立つようにしているのかもしれない。
エリアのシンボル的なジャガーのオブジェは好き。
このカラーコーンが外され、正式にお披露目されるのは今月24日(火)。
公式サイトによると、水中での狩りを観察できる温水プールや、立体的に造られた運動場など、ジャガーの特性を学べる設備が揃っているらしい。とても楽しみ。
最後は本園へ戻り、コアラ舎を通ってきた。
以上、東山動植物園の思い出でした。
♡おまけ♡
『アジアの熱帯雨林エリア』を歩いている時、急に父が振り返って「なにか首の辺りについてない?」と聞いてきた。見てみたがなにもない。そう伝えても父はしばらく首を触って気にしている様子だった。
しばらくして……
父の首元から、なにか出てきた。
「なにもついてない、とか言ったの誰ですか」
えっ……
こんなでかいやつが首元に引っ掛かってたの?いつから?この大きさで気づかないとかある?意味がわからなすぎてめちゃくちゃ面白かった。
虫好きな父じゃなかったら最悪大事件になってたから、くっついた先が父でよかったね、ナナフシくん。